借りる立場から管理する立場へ
公共施設の民間への運営委託を推し進める「指定管理者制度」。前稿で紹介したような近所の体育館だけではなく、プロスポーツの世界でも話題になっている。
県営・市営など公営のスタジアムを利用しているプロ野球やJリーグクラブがスタジアムの指定管理者となることで、これまで多額の利用料を納め、かつ入場料の1割程度を徴収されていた「借りる立場」から、施設を「管理する立場」へと変わって、収益の道を拡大しようという試みである。
これまでの新聞報道等によれば、プロ野球では初のアジアチャンピオンとなった千葉ロッテマリーンズが千葉マリンスタジアムの、そしてJリーグでは鹿島アントラーズが鹿島スタジアムの指定管理者へ立候補しているという。彼らは指定管理者となって、何をしようとして、そして何を生み出そうと考えているのだろうか?
飲食物販売やイベント開催
もし千葉ロッテマリーンズや鹿島アントラーズが晴れて「指定管理者」となれた場合、どのようなメリットが考えられるだろうか。もっとも大きな要素は、前述したような収益構造の変化だろう。
スタジアム内で販売される飲食物やグッズ等の収益は、販売業者とスタジアム管理者の間で契約によって分配される。ご当地ならではの食事など、魅力的なラインナップでスタジアムを訪れるファンに訴求すれば、スタジアム管理者としては大きな売上を見込むことができるし、それが名物となればスタジアムを訪れるリピーターも増加することだろう。
さらには客席やグランドを使ったイベントも、自身が施設管理者となれば、これまで以上に企画しやすくなる。今でも、ピッチを使った結婚式などの企画が行われているスタジアムは多いが、来年以降はもっと驚くような、大がかりなイベントが登場するかもしれない。
イベントという点では、スタジアムの中ではなく外でもさまざまなイベントを行いやすい環境が整うことになる。鹿島の牛島洋社長が新聞のインタビューで「競技場でサッカー以外のイベントなども行い、地元の人たちにもっと活用してもらいたい」と話しているように、敷地内であれば管理者の権限のもとで多様なイベントを仕掛けることが可能になる。千葉ロッテの瀬戸山球団代表も球場周辺の「ボールパーク化構想」をもっているという。試合のある日はもちろんのこと、試合のない日にも人が集まり、楽しめる環境を整備することで、スポーツチームの存在意義が高まっていくのではないだろうか。
地域住民とのリレーション強化
プロスポーツチームにとって最大の商品は「競技」であり、収益の基本を占めるべきは、その「競技」を楽しみにスタジアムを訪れるファンの入場料収入である。「指定管理者制度」は魔法の杖ではなく、おいしいお弁当を売ったところで、あるいは楽しいイベントを企画したところで、それらはあくまでも付加価値であって本質を見失ってはならない。
しかしこの制度は、これまで地域にもうひとつ浸透しきれなかったプロチームにとっては切り札となりうるものかもしれない。「サッカー以外のイベントを楽しめる場所」や「楽しく体を動かせるボールパーク」として、地元の人々が集う場所を構築できれば、収益源の拡大とともに、スポーツと地域住民のリレーションは強固なものへと変わっていくだろう。
(2005年11月15日)
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