スマート忘年会:忘年会の空気の読み方
デキるビジネス・パーソンとしては、忘年会もスマートにこなしたいもの。そこで、心理学者の内藤誼人さんに「忘年会の空気の読み方」、「帰りたいけど帰れないときの、スマート帰宅術」について伺いました。“忘年会マスター”になるための秘訣が満載です。
Q.忘年会の空気を読むにはどうすればいいでしょうか?
A  まず、空気の読み方というのは、シチュエーション別に異なるものではないということを覚えておきましょう。普段空気が読める人が突然忘年会だけできなくなるはずはありませんし、忘年会だけ空気が読めるけれど普段はダメ、ということはありません。
 そもそも空気の読み方というのは、相手の表情を読み取る力や本音を見抜く力も含まれる総合的なスキルなのです。英語の勉強をまったくしていないのに海外旅行中だけ英会話をできるようにしたい、といっても無理なのと同じで、ある程度普段から練習しておかないと通用しません。
 では、空気の読み方を身に付けるにはどうしたらよいか。大きく分けて2つあります。まず1つは「きちんと相手を見て話すクセをつける」こと。人間の本音というのは、上半身、とりわけ顔に出るものなので、目の前の人の顔を見ながら話すことが大切です。それだけできちんと話を聞いているということをアピールできますし、好意を持って接しているということも伝えられます。逆に、下を向いたり横を向いたり、人が話しているのに料理を食べていたりしていたら、それは空気が読めていないということなのです。
もう1つ大切なのは、「余裕を持ってその場に臨む」ということ。何か他に考えなくてはならないことがあると、その場に集中できなくなるということを知っておくべきですね。例えば恋人とうまくいっていなくてイライラしているときに忘年会に行っても、その場に集中できるはずがない。どうしても気になって人の話が耳に入らなくなってしまえば、相手を怒らせてしまうことだってありえますね。
Q.では具体的に、どのような心構えで忘年会に臨めばいいのでしょうか。
A  人間は、余裕がなくなると視野が狭くなってしまう生き物なのです。逆に言えば、余裕を持っていさえすれば視野を広くすることができます。だから、忘年会の前に不安要素を取り除いておくのがベスト。恋人とケンカしていたら、思い切って電話して謝ってしまえばいい。スッキリして、余裕が生まれてくるというものです。
 あと、僕がいつもアドバイスしているのは「何か食べておけ」ということ。お腹が空いていたら、それが気になってしまってつい目の前の料理に気を取られてしまいます。これは、料理を食べるなという意味ではありません。余裕を持って臨めるように準備しておけ、ということです。同様に、酒癖の悪い人は酔い止めの薬を飲んでおくのもいいですね。
 あともう一つ覚えておきたいのは、人間は先が読めないと苦痛を感じる生き物だということ。忘年会に参加していて「あとどのくらい続くのか」と思い始めたら、もう人の話をじっくり聞く余裕がなくなってしまいます。それを防ぐには、事前にできる限りの情報を集めておくことが必要ですね。一次会で終わるのか、必ず二次会に行くのか、どんな店に行くのか、カラオケはするのか、できる限りの情報を仕入れておくべきです。そうすれば、少なくとも忘年会の流れについて気を揉む必要はなくなるのです。要は、しっかりした事前準備をしておきましょうということですね。
Q.忘年会を上手に乗り切るためのテクニックはありますか?
A  まず「お酌」は絶対にするべき。お酌をすることで一気に場が和やかになりますし、円滑なコミュニケーションも実現します。
僕の個人的な印象では「お酌はしないことに決めている」と口にする女性が多いのですが、これはもったいないの一言ですね。「媚びているように見えるのでは」、「負けてしまうのでは」、「お酌を求めるなんて屈辱的」、「男尊女卑だ」などといった変な意味付けをしてしまう人も多いのですが、それはつまらない考え方ですし、ものすごく損をしていると思います。
「こぼしたら失礼では」、「下手だから」と思う人もいますが、相手はそんなこと気にしていません。むしろ、こぼしたことがきっかけで親密になることもあるので、わざとこぼしちゃうのもありでしょう(笑)。それくらい計算してしたたかに行動すべきですね。
これは「料理のとりわけ」も同じこと。変な意味付けをせず、何も言わずにやってみることをおすすめしますね。もしやらない場合は、何も言わないことです。「できない」と言ってしまうとかえって周りを不愉快にさせる可能性がありますよ。
Q.忘年会を盛り上げるためのテクニックについても教えてください。
A  忘年会に限らず、こういった場を盛り上げるために必須なのは、ネタの仕込みです。頭の中が空っぽな状態で忘年会に臨んでも、せいぜい会社の愚痴が出る程度で盛り上がりませんし、マイナスになる可能性もあります。
 ネタを仕込むといっても、大げさなものは必要ありません。身近なアイテムを活用するのがベターですね。簡単な手品を覚えておくのは効果的です。最近だと、お札を使った折り紙などというのも有効ですね。そういったすぐにアプローチできるネタを、いくつもストックしておくことが“忘年会マスター”になるためには必要でしょう。
事前に入念な準備をし、受身ではなく人を楽しませようと思って努力する、その結果盛り上げることができる人というのが、本当の意味で空気が読める人なのだと思いますよ。
Q.幹事になった場合のアドバイスをお願いします。
A  幹事さんの一番の仕事は店選び。ついおいしいお店を探しがちなのですが、味の優劣は二の次。まずチェックすべきは店員の態度です。
 実は料理の味で怒る人はあまりいません。怒りの琴線に触れてしまうのは、店員の態度の悪さ。逆に、店員教育がしっかりしている店を選べば、まず間違いありません。そして、予約するときは必ず直接出向くことをおすすめします。つい忙しくてWEBから予約してしまいがちですが、これだとどんなお店なのか、本当のところが把握できない。食べなくてもいいから実際に出向いて店員と会話してみる。お店の様子を見ておく。そうすれば生きた情報を仕入れることができますし、失敗する確率が極端に低くなります。
 料理はみんなで共有できるものをチョイスしたほうがベター。鍋料理とか、大皿から取り分ける中華料理は親密度が増すのでおすすめです。
取材協力:内藤誼人(ないとうよしひと/心理学者)

心理学者。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。有限会社アンギルド代表取締役。軽妙かつ明確な心理分析で人気を集めている。ビジネス、教育、恋愛などの分野で多数の著作あり。最新作に『一瞬でデキる奴になる!48の心理テクニック』(日経BP社)、『成功者の習慣が身につく「超」心理術』(東洋経済新報社)など。
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