love 人気が集まる恋愛マンガ。その理由と秘密を『僕の初恋をキミに捧ぐ』の青木琴美先生に直撃
『NANA』、『ハチミツとクローバー』、『花より男子』など、恋愛マンガを原作としたTVドラマや映画が話題を呼び、高視聴率やヒットを飛ばしている。
なぜ恋愛マンガは、これほどまでに人々を魅了するのだろう?
2007年『僕は妹に恋をする』(写真1)、2009年『僕の初恋をキミに捧ぐ』(写真2)、と自身の作品も映画化され、現在『MONTHLY Cheese!』で『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(写真3)を絶賛連載中の漫画家・青木琴美先生に恋愛マンガに人気が集まる理由をお聞きした。
恋愛は普遍のテーマ
「『恋愛』がテーマの物語が人気なのは、今に始まったことではないと思います。“世界最古の長編小説”と言われている源氏物語も、『恋愛』がテーマになっていると思いますし……。むしろ、『恋愛』が人気じゃなかった時代なんてないんじゃないでしょうか?」
確かに、千年経った現代でも源氏物語は好んで読まれている。あの上杉謙信も愛読していたらしい。『恋愛』というテーマは、時代や人を選ばないということか。
「ただ、最近はテーマが多様化してくる中で『少女マンガ』という分野が、最も『恋愛』というテーマを真正面から受け止めている作品が多いので、おのずと『少女マンガ』に人気が集まるのかな……とは思います」
ニーズの多様化は、時に物事の本質を見失わせ、見ているものを置き去りにしてしまう。それに比べ少女マンガは、恋愛という普遍的なテーマがつねに中心にあるので、誰にでも理解でき共感する土壌があるのだ。
恋とは、理屈ではなく感覚
恋愛をテーマにした物語を作るとき、青木琴美先生が気をつけていることは?
「なるべく『恋に落ちた理由』を描かないように……と思っています。物語を描くときに、どうしても『これこれ、こういう理由で好きになって……』というような『好きになる理由』を作家としては楽なので描きたくなってしまうのですが、でも、それって私は恋じゃないと思っています。理由なんてないじゃないですか」
異性を好きになったとき、よく「恋をする」のではなく「恋に落ちる」と言われる。それは「する」という明確な目的意識よりも「落ちる」といった偶発的な表現の方が、より具体的に状況を現しているからだろう。
「例えば『優しい』と思ったからといって、じゃあ、その人より優しい人が現れたら、そっちを好きになるのかと言えばそうじゃないですよね。『優しい』から好きなわけじゃない、その人だから好きになるんです。理由なんてない」
青木琴美先生の言うとおり、人は理由で異性を好きになるわけではない。その人の持つ雰囲気や個性といった全体的なものを好ましいと思い、好きになるのだ。「顔が気に入ったから」とか「優しいから」という理由は、言葉では言い表せない複雑な想いを誰かに話すときに、説明するのが簡単だからにすぎない。
永遠の謎……恋愛
「冷静に考えれば最低な男なのに、どうしてもその人が好きで離れられないことがありますよね。恋って、そういうやっかいで、論理的に考えておかしい感情だと思っています。だからなるべく『理由』を描きたくないなって、いつも思っています」(青木琴美先生)
もしも恋愛が論理的だったら人は悩んだり迷ったりはしない、公式に従って答えを導き出せばいいだけだ。だが実際の恋愛は理不尽で、理屈も計算も働かない。恋愛は答えのない永遠の謎なのだ。
それでも人は恋をすると、その謎を解き答えを求めようとする。少女マンガや、それを原作にした映画がヒットするのは、人がそこに手がかりを求め、永遠の謎を解こうとしているからではないだろうか。
文●華山天吉
青木琴美先生プロフィール
1998年 小学館少女コミック11月増刊号にてマンガ家デビュー
代表作に『僕は妹に恋をする』『僕の初恋をキミに捧ぐ』がある。
2009年 MONTHLY Cheese!5月号より、新連載『カノジョは嘘を愛しすぎてる』スタート!
漫画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」第3巻は2月26日発売。
2月28日には広島県のフタバTERA広島府中店にてサイン会開催予定。



