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generation 大金があれば人は幸せになれる? 映画『わたし出すわ』に見る“お金と人生”

trend091018.gif  『家族ゲーム』、『(ハル)』、『間宮兄弟』など、数々のヒット作、話題作を生み出してきた森田芳光監督。その13年ぶりとなる完全オリジナル作品『わたし出すわ』の公開が迫っている。ヒロインのセリフと思われる意味深なタイトルに「わたし出すわって、何を出すの? 一体どんな映画?」と興味をそそられる人は多いだろう。森田監督自身の言葉を交えながら、この映画の見所や魅力をお伝えしたい。

ヒロイン“摩耶”には小雪しか考えられなかった

 東京から函館に戻ってきたヒロイン、摩耶(まや)は、高校時代の友人たちに再会し、彼らの夢や希望をかなえるため、自分のお金を「わたし出すわ」と差し出していく。この映画の第一の見所は、ミステリアスなヒロイン摩耶を演じる小雪の存在感だ。ダークな色合いの衣装に雪のように白い顔、どこか寂しげな佇まい。透明感のある独特の声を聞くうちに、いつの間にか映画の世界に引き込まれてしまう。

 森田監督が最初に小雪に目をつけたのは、日経新聞のCMに出ていたころ。
「経済に強そうで知的な雰囲気を感じました。不条理でファンタスティックな作品世界を表現するために、彼女の存在は不可欠でしたね」(森田監督)

 現場での小雪は、休憩時間も役のままで通すという徹底ぶりを見せた。だから森田監督やスタッフも、プライベートでの小雪がどんな人物か、知らないままなのだと言う。
「素顔で印象的だったのは、寒がりだということくらいでしょうか(笑)。寒さと戦っている感じは、摩耶というキャラクターにはピッタリだったと思います」(同)

“お金の使い方”からその人の人生が見える

 摩耶からお金を差し出された友人たちは、戸惑いながらもそれを受け取り、それぞれに使い途を考えることになる。“お金の使い方”は、その人の生き方そのもの。賢い使い方をする者がいれば、愚かな使い方をしてしまう者もいるが、摩耶は、自分があげたお金がどう使われようとも、まったく気にかけない。摩耶の目線は、登場人物を厳しくもどこか温かく描き出す監督の目線と重なる。
「お金さえあれば幸せになれるとは限りませんが、お金の使い方を考えることで自分を知り、自分らしい生き方を探すきっかけになると思います」(同)

 監督は、映画の中で摩耶がしたように、他人に与えることが「いちばん良いお金の使い途」だと考えている。ただし、それには条件がある。相手のことをどれだけ知っているかどうかだ。たとえばバレンタインのチョコレート。苦いチョコが好きか甘いチョコが好きなのか。ブランドのチョコがいいのか、コンビニのチョコの方がいいのか。それを聞かないうちに勝手に高いチョコをあげても、単なる義理チョコになってしまう。難民への寄付にしても同じこと。何でもいいからお金をあげるのではなく、彼らが何を欲しているのか知ることが重要だ。
「相手のためを思ってお金を使うというのが大前提。相手を知り、相手が何を求めているか考えることが愛だと思うんです」(同)

20代の経験や苦労が結局は役に立った

 森田監督が子どものころから心に決めていた将来の夢は、意外にも映画監督ではなくジャーナリストだったそうだ。ところが、入った大学の放送学科の授業が全共闘運動のためロックアウトされ、仕方なく8ミリ映画を撮っているうちに就職する機会を逃してしまう。
「友だちが就職してしまって映画に出てくれる人がいないから、電車だけを8ミリで撮っていた時期もありました。その後撮った『ライブイン・茅ヶ崎』なんて、出てくれる友だちがいないからキャストは親戚だけ」(同)

 その『ライブイン・茅ヶ崎』が評判になり、映画監督になるきっかけになった。また、電車のフィルムを撮って編集技術を身に付けたことは、その後の映画作りに役立っている。
「人より抜きん出るためには、人がしないこと、変わったことをした方がいい」というのが森田監督からの20代へのメッセージ。自身の夢は、「年をとっても、あのジジイまだやってんのか、と言われるようになって、若い人に希望を与える」こと。話題作を連発する監督を支えているのは、ポジティブな発想力と熱いチャレンジ精神だ。

 『わたし出すわ』の魅力は、テーマや物語自体のおもしろさだけではない。随所に、森田監督らしい斬新な映像表現や独自の演出など、さまざまな発見がある。ぜひ映画館に足を運んで、森田芳光ワールドを直接体験してみてほしい。

 映画『わたし出すわ』概要
●ストーリー:東京から故郷の函館に戻ってきた摩耶(小雪)は、高校時代の友人たちに久々に再会する。それぞれの夢や希望を持って生きている旧友たちに、摩耶は、東京で稼いできたお金を惜しげもなく差し出す。摩耶は東京で何をしていたのか? なぜ友人たちに大金を差し出すのか? いくつかの謎を残したまま、“お金”にまつわる不思議な物語が展開する。
●キャスト:小雪 / 黒谷友香 / 井坂俊哉 / 山中崇 / 小澤征悦 / 小池栄子 / 仲村トオル ほか
●監督:森田芳光
●配給:アスミック・エース
●公開情報:10月31日(土)、恵比寿ガーデンシネマ、新宿バルト9他全国ロードショー
●公式サイト:http://watashi-dasuwa.com

●コブタメ『わたし出すわ』作品情報:
http://cobs.jp/entertainment/movie_info/2009/10/post-4.html

文●本居佳菜子(エフスタイル)

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