こんにちは、滝岡幸子です。今回は、雑貨店を経営する塚田美和子さんをご紹介します。グラフィックデザイナーとして勤務した後、ヨーロッパ輸入雑貨やオリジナル商品を扱う店を始めた塚田さんは「自分のできる範囲で、商品をていねいに選ぶ」ことを大切にしているそうです。
塚田美和子(つかだ みわこ) 雑貨店「トロイヤー・フント」 店主
1969年生まれ。大学卒業後、ソニー株式会社に入社。ロゴ、パッケージなどのグラフィックデザインを担当。4年間勤務した後に退社し、イギリスに短期留学。帰国後、株式会社デルフォニックスに入社し、文房具やインテリア雑貨の企画・デザインを担当した。2001年、独立して東京代官山に雑貨店「トロイヤー・フント」をオープン。2005年、有限会社トロイヤーフントを設立。
トロイヤー・フント http://www.treuer-hund.com/
東京代官山にある雑貨店「トロイヤー・フント」には、店主の塚田美和子さんがセレクトした“甘すぎない、ナチュラルで素朴な雑貨”が並ぶ。北欧やヨーロッパから、木工製品やアンティーク食器、インテリア雑貨を塚田さんは仕入れている。
「まだ日本で知られていない海外の小さなメーカーを紹介したいと思っています」。
たとえば、やぎのミルクせっけん『Goat milk soap』は、フィンランドの小さな農家から直輸入している商品だ。
「トロイヤー・フント」では、塚田さんがデザインするオリジナル商品も扱っている。天然木や自然素材を使い、塚田さんが企画から制作まで行う雑貨は、店舗販売だけでなく、全国の小売店向けに卸売りも行っている。
「良い材料をぜいたくに使い、丁寧にものづくりをしたいので、じっくり妥協せずに制作しています」。
塚田さんは美大でグラフィックデザインを学び、卒業後はソニー株式会社に入社。家電製品のパッケージ、ロゴマーク、関連会社ソニープラザで販売する若者向け製品のデザインを手掛けた。「私には家電製品よりも、女性向けのインテリアやキッチン雑貨のデザインが向いている」と気付き、4年間勤務して退社した。
退社後、気分転換を兼ねてイギリスに短期語学留学をした。英会話学校に通いながら、現地のデザイン事務所に履歴書や自分の作品集を送ると、家電製品を中心に扱う会社にフリーデザイナーとして採用された。海外のデザイナーとミーティングを重ねてアイデアを出し合い、商品のデザインを完成させたことは自信につながった。
「雑貨のデザインがしたい」と思った塚田さんは、帰国後、雑貨の輸入やオリジナル商品の制作を行う株式会社デルフォニックスでアルバイトとして働いた。実は正社員デザイナーとして入社を希望したが、その時期に募集はなかった。そこで塚田さんは「何でもやります」と伝え、アルバイトで働きながら社員登用のチャンスを待つことにした。塚田さん自身も「何でも屋」と言うように雑用からデザインまで必死で仕事をした結果、働き始めて半年後には正社員として採用された。念願だった雑貨のデザインができ、楽しい毎日だった。一方で社内の予算は決まっていて、大量に売れる商品しか制作できないことは寂しかったそうだ。もともと雑貨が好きだった塚田さんは、「自分がデザインした商品や好きなものを置く店を始めたい」と思うようになり、店の構想を練るために会社を辞めた。
退社後1年をかけてゆっくり開店準備をするつもりだったが、ふと立ち寄った不動産屋で良い物件を見つけた。一人で経営するのにちょうど良い広さで周辺環境も良く、すぐにその物件を借りることを決め、開店準備に取り掛かった。「予定よりもかなり早い開業になりました」。
2001年、雑貨店「トロイヤー・フント」をオープン。トロイヤー・フントとは、ドイツ語で“忠実な犬”。塚田さんが飼っている犬を思い浮かべて名付けた。開業資金は、店舗賃貸の保証金、初月賃貸料、仕入れを含めて500万円。借金はしない方針で、自己資金でまかなった。「もし事業が失敗しても死んでしまうわけではないし、金額的には車を1台買ったような感覚で店を始めました」。
塚田さんには雑貨の企画・デザインのキャリアはあったが、接客や経理業務の経験はゼロ。「手探り状態で店を始めて、少しずつ覚えていきました」。開業から6年が経過し、固定客も増えた。店内には、塚田さんが常連のお客さんの顔を思い浮かべながら仕入れた商品が並んでいる。
(2007年8月3日)
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