オイシックス株式会社 代表取締役社長
高島宏平 氏
2000年6月、"一般のご家庭での豊かな食生活の実現"を企業理念に、オイシックス株式会社を設立した高島宏平社長。 2005年には、オイシックス株式会社が日本オンラインショッピング大賞・グランプリ受賞、また、高島社長自身も、2007年に世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leadersの1人に選ばれるなど、その活動への注目度は高まる一方だ。 会社員時代、そして起業後、高島さんはどのようなことを心がけて、仕事に打ち込んできたのだろうか?
"なぜ?"ではなく、"どうすれば?"で考える

--転職を考えていたり、将来的に起業を考えていたりする人は、現在の会社でどのような心がけで働けばよいと思いますか?
ポジティブな志向法を獲得することです。 どのような環境に置かれていようとも、ポジティブシンキングができる人は強いと思います。 そのような人は自分で道を切り開いていけると思いますし、引く手あまたでなのではないでしょうか。 ポジティブシンキングを身に付ける秘訣は、よく言われることですが、"なぜ?"で、ものごとを考えないことです。 "なぜ、自分の上司は彼なのか?"、"なぜ、ウチの社長はワンマンなのか?"......。 そのようなことを考えても、答えが見つからず、ネガティブになるだけ。 そうじゃなくて、"どうすれば?"を考えるんです。 これは私も朝礼などでよく社員に伝えています。 常に"どうすれば?"で考えていけば、会社の中でどんな風に働けばいいかも見えてくるし、転職したいのならば、より有利に転職するための方法もわかってくると思います。 ポジティブな人にはチャンスに巡ってくる機会自体も多いと感じます。
--採用する立場としても、ポジティブシンキングのタイプの人を採用する傾向はありますか?
それはそうですね。 "なぜ? なぜ?"と考えるような人には、ネガティブなエネルギーが充満しています。 ネガティブなエネルギーをバネにして伸びる人も中にはいるかもしれませんが、自身のこれまでの経験から、ネガティブな人はどんな状況でもネガティブに考える傾向があると感じています。 私たちの会社では、素直で元気があって、成長の伸びしろのある人材を求めています。 そのような会社から見ると、やはりポジティブな発想を持った人のほうが採用しやすいですね。 環境に左右されずポジティブに働ける人は、どんな業界でも重宝されると思いますよ。
仕事に向かう態度は100%選ぶことができる
--ほかにも、ポジティブになれるようなコツがあれば教えてください。
これも、"なぜ?"を"どうすれば?"に変えるのと同じようなことなのですが、"自分の態度は自分で決められる"ってことを自覚することですね。 大抵の場合、私たちは与えられる仕事を選ぶことはできません。 でも、その仕事をどんなふうに行うのかという態度は、100%自分で選ぶことができますよね。
--なるほど。仕事を辛くとらえるのも楽しくこなすのも自分次第ということですね。
たとえば、私たちオイシックスが深刻なトラブルに見舞われたときのことを例に考えてみます。 システムや配送センターのトラブルなどで、確実に2~3日は徹夜しなければならないような深刻な事態が発生したとしましょう。 そんな時、まず私たちは、問題を解決するための会議室に、大量のお菓子を買い込むんです。 そして会議の最初には、この問題解決のテーマソングを決めます。 そういうことを決めておくと、作業が辛くなってきたときに、大音量でテーマソングを流したり、誰かがふいに椅子の上に立ち上がって、テーマソングを歌い出したりするんですよ(笑)。 もちろん、歌えば問題が解決するわけではありませんよ。 でも、みんなの間に活気が戻るというか、チームワークが育まれるというか、そういう盛り上がりが生まれるんですよ。 実際に、問題が起きたときには、楽しく解こうとしたほうがいい解決方法が見つかるケースが多いように感じています。 ミッションや使命は選べない。 でも、それに向かう態度は選ぶことができる。 選べるのだから、自分にとっても、チームにとっても、よりよい態度を選んだらいいと思っています。
--「テーマソング」とはおもしろいですね。高島さんは起業をする際に、支え合う仲間の存在を重視していらっしゃるようですが、職場の人間とよりよい人間関係を築くためにどのようなことを心がけていらっしゃるのですか?
その質問は、"友達を作るにはどうすればいいですか?"という質問に非常に近いものがありますね(笑)。 私が思うには、やはり遠慮しあうような関係ではいい絆は生まれないのではないか、ということです。 学生時代は、比較的心をオープンにした関係が作りやすいですよね。 それが会社に入ると、付き合う人間の年齢はバラバラですし、社歴もいろいろです。 ずいぶん年上だけど、社歴は自分より浅い、なんていう人もいることでしょう。 しかし、そういう人にも遠慮しないほうがいいと思います。 自分の本気をぶつけて、相手の本気を受け取る。 それで馬が合わないようなら、長くつきあったところでそもそもうまくいかないものだと思います。 なるべく早い段階から心をオープンにした交流ができるようにしたほうがいいでしょうね。 ポイントは、"一生懸命な状態で相手に接する"ということだと思います。
おいしくて安全な食品をニッチからマスに

--最後に、オイシックスの今後の展望を聞かせてください。
私たちがいる業界は、自然食品業界と呼ばれるところなのですが、食品業界全体から見るとニッチな業界なんですね。 しかし、安全で安心な自然食品がニッチなんて変だとは思いませんか? 私たちは、この業界のあり方そのものを変えたいと思っています。 ニッチな業界の中でトップになりたいわけではなく、安心、安全な食品をみなさんに食べていただくことを本流にしたいのです。 そして、そのように業界が変わったときに、自然食品業界をリードする立場に立っていきたいと思っています。 現在はインターネットでの販売が中心ですが、先日、恵比寿の三越さんに実店舗をオープンしました。 ネットや実店舗などさまざまなルートを使いながら、自然食品の社会インフラとなるような会社にしていきたいと考えています。
--日本の食文化を強くするために手がけていることはありますか?
農業の支援です。 日本は食糧自給率が低く、農業が低迷しているように捉えられがちですが、それは間違った認識です。 実は日本の全農業生産額のうち6割は、全体の7%の農家が供給しているんです。 つまり、非常に優秀な7%の農家が日本の食を支えているわけなんですね。 日本は国土が狭いため、狭い土地からたくさんの収穫物を得る技術に長けています。 また、四季があるので、四季折々の農業技術が発展しており、世界的に見ても非常に優秀なんです。 オイシックスでは、お客さまからより多くの"おいしい"を集めた農家に対して、農家・オブザイヤー(ノーカー・オブザイヤー)という賞を設けて、表彰するようにしました。 受賞した農家は問い合わせが相次ぐなど、だんだんと農業界で注目を集める賞に育ちつつあります。 このように、さまざまなアプローチから、日本の食文化の発展に貢献してきたいと思っています。

オイシックス株式会社 代表取締役社長
高島宏平 氏
1973年、神奈川県生まれ。
98年3月、東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。
同年、4月マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、東京オフィスにおいてEコマースグループのコアメンバーの一人として活躍する。
2000年5月にマッキンゼーを退社し、同年6月、"一般のご家庭での豊かな食生活の実現"を企業理念に食品販売・食生活サポートを行うオイシックス株式会社設立、同社代表取締役社長に就任する。
07年 企業家ネットワーク主催「企業家賞」受賞、08年 独自性がある優れた戦略を評価する「ポーター賞」を受賞するなど、受賞歴多数。
■オイシックス株式会社
http://www.oisix.com/
高島宏平氏インタビュー
■【前編】
3年で誰よりも出世して成果を残し
そして起業しようと考えていた
■【後編】
どのような環境に置かれても
ポジティブに考えることが大切






